ヘリコバクター・ピロリ菌とは
目には見えないピロリ菌
大きさは2.5~5μmで肉眼では見えません。ピロリ菌は口を経由して胃に感染します。免疫が未熟な幼少期に胃に感染すると自然淘汰されることはほとんどなく生涯通じて慢性的な胃炎状態が継続します。慢性胃炎はその名のとおり持続的な胃炎を形成し、胃粘膜を菲薄化し萎縮させます。いわゆる萎縮性胃炎にいたり、その先には胃癌の発症ハイリスクとなります。幼少期に汚染した井戸水を摂取した場合や感染した両親の食事介助などで経口感染するといわれています。胃の中でまったく知らないうちに胃の老化が進んでいる、ということになりまねません。
ピロリ菌感染している胃の内視鏡写真1
これは初期のピロリ菌感染胃炎像。写真には洗ってもとれない粘調度の高い粘液が付着しています。このような粘液ねっとりとしたこのような所見では高い確率でピロリ菌が感染している胃炎であると思われます。みただけでピロリ菌感染を疑わなければなりません。
ピロリ菌感染している胃の内視鏡写真2
胃体部を撮影した写真です。胃粘膜は襞(ひだ)で凹凸のある状態です。粘膜は発赤が浮腫がむくんでいます。いわゆる慢性胃炎の所見です。この方はのちに行った組織検査で「ヘリコバクター・ピロリ菌」が感染している胃であることが判明しています。
ピロリ菌感染している胃の内視鏡写真3
胃カメラを胃内で反転させ見上げているところです。体部小弯部を観察しています。慢性胃炎は進むと萎縮が進み萎縮性胃炎と呼ばれます。この症例では軽度の萎縮性胃炎と診断しました。
これが萎縮性胃炎です
写真に向かって右側には粘膜が白く広がり、左側には肌色に広がっています。縦にその境界線が明瞭に描出されています。白い部分は萎縮変化したところで、このような所見を見れば過去にピロリ菌が胃に存在したことを示す所見です。先の写真に比べてやや進んだ萎縮性胃炎の例です。
除菌治療の条件
半年以内に胃カメラ検査をうけて胃癌がなく、かつ「胃炎」と「ピロリ菌感染あり」の診断が下されていることが前提です。
胃カメラの予約手順
他医の情報がなければ当院で胃カメラ検査を予定します。
胃カメラは予約検査になり、まずメールか電話で空いている枠を抑えていただき検査の1週間前前までに来院していただきます。
胃カメラ検査のためには半年以内の「HBs抗原」「HCV抗体検」「肝機能腎機能」「血小板数などの抹消血液検査」以上の検査結果が必要です。
当院で採血をおこない事前に調べる体制を整えていますが、ご持参いただいた書類に検査結果がすべて含まれていれば当院での採血検査は不要です。
胃カメラは静脈麻酔で完全に眠った状態で行いないます。
胃カメラした日に除菌治療をお渡しします
胃カメラ時に「胃炎」が観察された場合ウレアーゼテストというピロリ菌の補助診断をおこないます。
結果判明するまで約30分で鎮静剤でリカバリールームから起き上がり説明を聞くころには結果が判明しています。
即日除菌治療薬を処方します。
内服期間アルコールを飲むと薬剤効果が減弱しますから禁酒することをお勧めしています。
尿素呼気試験
1回目の服用でピロリ菌が駆除できる確率は90%ですべてではありませんので内服治療の4週間以降に尿素呼気試験をおこない成功の是非を判定します。
尿素呼気試験は胃カメラを使用しない方法で20分ほどで済みます。朝から絶食の上写真のような風船を膨らまし除菌治療の成否判定検査に用います。 判定には胃カメラは使用しませんのでご安心ください。
尿素呼気試験は胃カメラを使用しない方法で20分ほどで済みます。朝から絶食の上写真のような風船を膨らまし除菌治療の成否判定検査に用います。 判定には胃カメラは使用しませんのでご安心ください。